がん細胞転移の仕組み解析 名大グループ

名古屋大大学院の高橋雅英医学系研究科長(腫瘍病理学)と加藤琢哉特任助教(同)のグループは2日までに、がん細胞の集団が別の組織へ入り、がんが広がったり転移したりしていく際の詳細な仕組みを解析したと、米科学誌電子版に発表した。

集団の表面にある細胞内で、動きを制御するタンパク質の発現が促進され、隣接する内側の細胞を引っ張って動く仕組みを確認。高橋研究科長は「このタンパク質を阻害する薬など、新たな治療法の開発につながる」と話している。

グループは皮膚がんや口腔(こうくう)がん、子宮頸(けい)がんなどにみられるヒトの扁平(へんぺい)上皮がんを使用。がん細胞の集団を表面の「先導細胞」と内部の「後続細胞」に分類して調べた。

その結果、先導細胞では細胞の動きに関わるタンパク質「インテグリンベータ1」が強く発現することが判明。このタンパク質の阻害剤を加えてがん細胞を培養すると、周辺の組織への移動がみられなくなった。

さらに、インテグリンベータ1が発現するまでの仕組みも解析した。先導細胞は自身の外側にがん細胞がいないことを感知すると、細胞内で酵素を活性化させ、物質を結合。これによりインテグリンベータ1の発現が促進されていた。

遺伝子操作により、結合される物質を抑えたがん細胞を作製し、マウスの舌に移植して実験すると、リンパ節への転移率が通常の75%から10~20%程度まで抑制された。

がんの転移では、細胞が個別に分離して移動するケースの研究が中心になっているという。高橋研究科長は「集団移動のケースの方を研究の真正面に掲げ、仕組みの解明に努めなければいけない」と話している。〔共同〕

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